「夫婦で禁煙」は妊活の第一歩

たばこが身体に悪いということは皆さんなんとなくご存知ですよね。
現在では飲食店や公共施設ではどんどん禁煙化が進んでいます。

たばこは一体何が身体に悪いのでしょう?
そしてたばこと妊娠にはどのような関係があるのでしょうか?

○ たばこの三大有害物質

まずはたばこの有害物質について。

・ニコチン

依存症の原因となる成分です。
血管を収縮させ血液の流れを悪くさせる作用があり、子宮や胎盤への血液量減少を引き起こします。

・タール

たばこのヤニの成分。発がんに関連する物質が数十種類以上含まれています。

・一酸化炭素

血中の酸素運搬機能を阻害し、身体の酸素不足を引き起こします。

これらがたばこの三大有害物質といわれます。
その他にも約250の有害物質、50以上の発がん性物質が含まれているといわれています。

○ 不妊との関連

有害物質が血流を阻害することで血中FSH(卵巣刺激ホルモン)値が高くなり卵巣機能を低下させます。
ニコチンなどの物質が女性ホルモンの分泌を抑制し、卵子の遺伝子異常を引き起こしてしまいます。
その結果、卵子は老化し受精率や着床率に悪影響を及ぼします。

また男性の場合でも、精子の濃度や運動率が低下することがわかっています。
数値上問題はなくとも受精能力は低下するといわれています。

さらに妊娠した場合でも流産や死産の可能性が高くなること、出産した場合も未熟児や先天奇形の可能性が高くなることが報告されています。

○ 加熱式たばこは?

最近、煙が出ない新しいタイプのたばこが登場しています。
その一つが加熱式たばこです。

一般的なたばこよりも発がん性物質や有害成分物質が少なく、たばこ関連疾患のリスクを減らすという論文もでていますが、米国ではたばこの加熱式フィルターから加熱時に有害物質が発生しているという報告もあります。
つまり加熱式のたばこでも全くの無害ということはありません。

○ 妊娠の確率を1%でも上げるために

喫煙者にとって禁煙をするということは大変エネルギーの必要なことかと思いますが、お金をかけてクリニックや鍼灸院で不妊治療をされているのにもかかわらず、お金のかからない不妊治療=禁煙の努力をされないのは非常にもったいないことだと感じます。

たばこはお身体のことを考えるとまさに「百害あって一利なし」です。

妊娠には絶対がありません。
条件が揃えば妊娠するというものではありません。

また不妊治療を受けられている方は妊娠できない原因がはっきりしないことも少なくありません。

そんな中、不妊治療でできることは妊娠の確率を少しでも高めることです。
鍼灸で身体を整えることも、クリニックで治療を受けることも、妊娠の確率を高めるために行っているはずです。
人工授精や体外受精もそうです。
全て妊娠の確率を高めるために行っています。

確率を高めるというふうに考えれば日々の食生活や睡眠なども当然関わってきます。
健康的な状態で過ごすことが確率の上昇に関係してきます。
ですから「禁煙」は不妊治療の立派な第一歩なのです。

不妊に悩まれているご夫婦で喫煙されている方がいらっしゃいましたら、少しでも考えるきっかけにしていただければ幸いです。