子宮内膜症と不妊鍼灸

【子宮内膜症】

本来なら子宮の内側を覆っている子宮内膜またはそれに似た組織が、子宮の内膜以外の部位(卵巣・ダグラス窩・腹膜・子宮の壁の中など)に発生し、発育を続ける疾患です。
20〜30代の女性に発症することが多く、30〜34歳くらいが発症年齢のピークとされています。

◇症状◇

代表的なものは「痛み」「不妊」です。
痛みの中でも月経痛は内膜症患者さんの90%にみられます。
またその他に腰痛や下腹部痛、排便痛、性交痛などがみられます。
痛みの症状は加齢による女性ホルモン分泌の減少によりおさまっていきますが、妊娠を希望する女性には不妊が大きな問題となります。
子宮内膜症患者さんのおよそ30%が不妊であるという報告もあります。
子宮内膜症が妊娠を阻害する明確なメカニズムは解明されていませんが、炎症や癒着によって組織の変形が起こり、物理的に妊娠しにくくなっている場合や、子宮内膜症があることで分泌される様々な物質が妊娠を阻害している場合があると考えられています。
つまりは子宮内膜症があることで排卵困難・卵管狭窄が起こったり、卵子の質や着床率の低下が起こったり様々な要因が絡み合い、不妊に繋がっているのです。

◇現代医学での治療法◇

薬による治療と手術による治療の2つに大別されます。
症状の程度や年齢、妊娠希望の有無によって最適な治療法を選択します。
妊娠を希望する場合も、年齢や他の不妊因子の有無などによって治療法が異なります。
年齢が若く軽度の子宮内膜症の場合は手術を行わなくとも自然妊娠が可能です。
ですが卵管に異常がある場合や不妊期間が長い場合などは手術もしくは体外受精による妊娠を考えることになります。

◇東洋医学での治療法◇

東洋医学において血液(血)は身体中を巡り栄養や酸素を運ぶことで全身を栄養し、また老廃物を排泄する重要な役割を担っています。
その血の流れが滞ることで様々な不快症状がおこる状態を東洋医学では「瘀血(おけつ)」といいますが、その瘀血が子宮内膜症の原因であると考えられています。

そのため、滞った血液の流れを改善することが第一の施術目標となります。
またそれに加え身体中に存在する経穴(ツボ)やそれらを連絡する経絡を使用し、身体全体の機能を高めることで自律神経の働きやホルモン分泌の指令・伝達経路を整え、症状の緩和を促していきます。

◇セルフケアにおすすめのツボ

以下、子宮内膜症の症状に効果のあるツボをご紹介します。
お風呂の中やお風呂上がり、ちょっとした空き時間にゆっくりやさしく…気持ち良いくらいの強さでツボ押しやお灸をどうぞお試しください。

◉ツボの位置は目安です
 その位置は人によって少しずつ違います。押してみて「痛気持ち良い」と感じるところを見つけてみてください。
◉じっくり、ゆっくり、、、
 1,2,3ーと数えながらゆっくり押して、1,2,3ーで徐々に指を離す…を10回くらい繰り返しみてください。ポイントはリズムよく繰り返すことと呼吸を忘れないことです。